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2021.12.11 法人向け企業型確定拠出年金制度(企業型DC)

社長の退職金 相場・節税効果・準備方法など一挙に解説

 

2022年2月15日更新

中小企業の社長も退職する際に退職金を受け取ることができます。
この退職金のことを「役員退職慰労金」と呼びます。役員退職慰労金は会社側にも受け取る社長側にもメリットとデメリットがあります。

今回は中小企業社長の

・退職金の計算方法
・税務面、節税・税金対策
・退職金の準備方法などなど

全て解説します。
また、オススメの退職金を準備方法をプロの目線で詳しく解説します。

目次

中小企業の社長の退職金の相場は!?

まずは中小企業の社長の退職金(役員退職慰労金)の平均的な支給額はいくら位なのかを見ていきます。

業種 売上高
(年商)
役員勤続
年数
退職時
標準月額
退職金額
1:製造業 5億~10億 26年 120万円 4,000万円
2:製造業 5億~10億 22年 70万円 1,848万円
3:製造業 5億未満 51年 80万円 4,000万円
4:サービス 5億未満 16年 52万円 832万円

引用元:日本実業出版社

サンプルは多くはありませんが、売上高による会社規模や勤続年数、退職時の標準月額で退職金額に差が出ていることが分かります。
詳しい計算方法等は後ほど説明いたします。

社長の退職金準備、なぜ必要か?

なぜ社長の退職金準備が必要なのでしょうか?

近年「人生100年時代」というフレーズをよく耳にすることかと思います。

このフレーズは日本人の平均寿命が延びていることを表しているだけでなく、会社経営においても様々な意味を表しています。
例えば社長が引退した後の生活です。
平均寿命が延びているという事は社長引退後の生活が伸びており、それだけ老後資金が必要になってくるということです。
社長の退職金を十分に準備していないと、社長は公的年金だけの生活に不安を感じ、常勤役員引退後も非常勤役員として役員報酬を受け取り続けることも起こりえます。

影響力の大きな先代社長が会社に残ることにより、会社の財務へも影響を与えてしまうばかりか、後継者へのスムーズな事業承継にまで影響を与えてしまうことにもつながります。
社長の退職金を準備しておくことは、世代交代した後の会社の財務環境・事業承継へも大きなメリットになります。

社長の退職金を準備していなくて困った事例

筆者、杉山が関わった事例を紹介します。首都圏でホテル業を営む中小企業A社では創業社長が経営を退くことになりました。その際にA社にとって多額の退職金を社長に支払うことになりました。A社は退職金の積立などの事前準備をしておらず結局、会社の剰余金から支払いました。創業社長への退職金支払いで経営自体が揺らぐことはありませんが、当初予定していた設備投資や人員増強計画などについては一旦保留せざるを得ませんでした。

資本力のある大企業であればこのようなことは起きにくいですが、中小企業では手元に多額のキャッシュを抱えていない場合が多く、会社の剰余金を吐き出すことで事業計画に悪影響がでることがあります。

A社の場合、創業社長と同水準の金額を次期社長に支払うことは到底不可能だと判断し、長期的に退職金の積立を行うことにしました。

このように社長の退職金を計画的に準備していない場合は世代交代後の次期社長・社員などステークホルダー全員が困ることになりかねません。

A社のケースでは多額の退職金を創業社長に支払う必要があったため設備投資計画が遅延するという影響が出ました。では、中小企業の社長が受け取る退職金額は具体的にいくらぐらいでしょうか?

中小企業の社長の退職金の相場は!?

まずは中小企業の社長の退職金(役員退職慰労金)の平均的な支給額はいくら位なのかを見ていきます。

業種 売上高
(年商)
役員勤続
年数
退職時
標準月額
退職金額
1:製造業 5億~10億 26年 120万円 4,000万円
2:製造業 5億~10億 22年 70万円 1,848万円
3:製造業 5億未満 51年 80万円 4,000万円
4:サービス 5億未満 16年 52万円 832万円

引用元:日本実業出版社

サンプルは多くありませんが、売上高による会社規模や勤続年数、退職時の標準月額で退職金額に差が出ていることが分かります。
詳しい計算方法等は次項で説明いたします。

社長の退職金の計算方法とは?

社長の退職金(以下役員退職慰労金)は絶対に支払われなければならないものというわけではありません。
そして以下の内容に関する決定権は会社側には与えられていません。

  • 役員退職慰労金の支払いの実行
  • 役員退職慰労金の支払い額
  • 役員退職慰労金の支払い方法
  • 役員退職慰労金の支払いをいつ実行するのか

役員退職慰労金は「定款」または「株主総会の決議」によって決定するべきだと会社法で定められています。
多くの場合、株主総会決議で決定されます。
要するに社長だからといって株主の許可なく、自分の役員退職慰労金を勝手に決定することはできないということになります。

功績倍率方式とは

役員退職慰労金の支給額は、功績倍率方式で決定されるのが一般的です。
功績倍率方式:最終役員報酬月額×役員勤続年数×功績倍率

◆最終役員報酬月額

退職直前の役員報酬の月額のことです。
退職する直前に役員報酬を大きく増額させた場合は、
「役員としての功績をまともに果たしていないのにも関わらず受け取る退職金が多すぎる」と税務署から指摘されることもあるため注意が必要になります。

◆役員勤続年数

役員として勤続した年数のみ計算されますので、役員になる前に社員として働いていた期間は含まれません。

◆功績倍率

功績倍率とは、役員が勤続期間中に会社へどれだけ貢献したかを職責に応じて数値化したものです。
各役職で2倍から3倍までが一般的な水準とされており、判決として裁判所が示した数値もあります。

役職 功績倍率
社長 3.0
専務 2.5
常務 2.3
取締役 2.0
監査役 2.0

この功績倍率を高く設定すると、退職金が大きくなってしまいます。
上記の表を参考に同業種で同規模程度の法人の例をいくつか参考にしたりして、適切な退職金となるようにしなければならないことも注意すべき点となります。

平均額法とは

平均額法は、例外的な場合における役員退職慰労金の計算方法です。
退職直前の役員報酬が著しく高かったり低かったりする場合に使用されます。
例えば退職を考慮に入れ、社長が平の取締役になってから次期社長へバトンタッチした場合などがあたります。
直前の役員報酬月額が低くなるため適切な役員退職慰労金が計算できません。
こういった場合に平均額法で計算することになります。

平均額法:1年当り退職金×勤続年数
1年当り退職金は、同業種・同規模程度の役員退職慰労金のデータより算出された、1年当りの退職金の平均額となります。

功労加算する場合について

会社に対して功績の大きかった役員に対して、功労加算金として功績倍率方式で算出した金額に上乗せして支給される場合があります。
役員退職慰労金の30%が一般的に定められている上限率ですが、法などにより厳密に規定されているわけではありません。

杉山の退職金準備方法

ここで著者・杉山は自分の退職金をどのように準備しているか行っているか、1つの事例として紹介します。
退職金というより、自分の老後資産づくりと言い換えても問題ないでしょう。

4つの方法を組み合わせて退職金を準備

結論から言うと、下記4つを組み合わせて資産づくりを図っています。

① 積立NISA

② 普通の積立

③ 企業型DC

④ 株式投資

「おいおい色々やってるじゃないか、これは専門家だから出来るんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし決して難しい投資はやっておらず、とてもシンプルな資産運用を行っています。

まず①~③は呼び方は違えど「積立投資」といって、投資手法は全く同じです。
①~③の積立投資で毎月購入している銘柄もほぼ同じです。

※積立投資についての詳細はこちらの記事をお読みください。
悩む必要なし、初心者にオススメの積立投資

イメージしていただくとこんな感じです。
①積立NISA
投信A:毎月1万円
投信B:毎月2万円
投信C:毎月1万円

②企業型DC
投信A:毎月1万円
投信B:毎月2万円
投信C:毎月1万円

③ふつうの積立投資(課税口座)
投信A:毎月1万円
投信B:毎月2万円
投信C:毎月1万円

合計12万円(月額)を毎月、投資信託で積立を行っています。

というのも、投資信託自体が細かに分散投資されており、なおかつ、おすすめ出来る優良投資信託は「だいたい決まっている」のです。なので積み立てを行う投資信託を10銘柄とか、20銘柄とか、細かく分散する必要はないのです。

優遇制度はしっかり使う

①積立NISA、②企業型DCは税制優遇されています。数百万単位で得をするので利用しないのはもったいなさすぎます。

積立NISAも企業型DCも毎月の積立金額に上限がありますので、上限を超えた分を通常の積立投資(税金が惹かれる口座)にまわしています。

要は「どうせ積立するんなら税金安くなったほうが良いよね」という理由でNISAと企業型DCを活用しているということです。

積み立て投資を20年ほど続けると概ね2倍~3倍にはなるだろうという予測をお上が出していますので、「自分が60才のときに1億円ぐらい退職金を作れたら良いかな」という気持ちでコツコツ継続しています。

ほぼ負けない超シンプルな株式投資手法とは?

そして④の株式投資をさらに組み合わせます。
株式投資といえどもデイトレードなどの短期的な売買は一切やりません。
私の実践する株式投資はとてもシンプルです。

  • 1年に1~2回到来する株価急落時に株を買う
  • 同時に、3年に1~2回訪れる株価暴落時に株を買う

これだけです。
買う銘柄は高配当銘柄や大企業の株中心です。買った株はしばらく寝かせて放置します。
たまに10倍になりそうな成長株も買いますが(実際に10倍になった株を買えたことはありません)、金額は少なめにしています。
こんなやり方ですが、ほぼ負けません。

簡単すぎて拍子抜けするかもしれませんが、

  • 沢山の投資家の成功・失敗
  • 多数の投資商品
  • 金融機関の提案商品
  • 運用会社の作る商品

これらを見てきた結果、たどり着いた私なりの「最も負けにくい投資法」です。

筆者杉山は、このように
「積み立てを行いつつ、急落・暴落時を株を買う」という至って普通の投資を行うことで、
自分の退職金を準備しています

杉山流「社長の退職金準備」の黄金パターン

わたし流の効率よく退職金を準備するポイントは

  • 社長の退任時に急いで準備するのではなく
  • コツコツ時間をかけながら
  • 国が認める税制優遇制度をしっかり活用しつつ
  • 税金を安くして
  • がっぼり確保する

ということです。
がっぽり確保しましょう。

 

次項では社長の退職金について「一般的な税制・節税効果」を解説します。

社長の退職金の税制・節税効果について

一般的に退職金は、税制面において通常の給与所得よりも優遇されており、退職金を受け取る時は税金の負担が少なく済むことが多いです。
そして社長などの役員が退職する際も同様に、税制面で優遇されています。
また、役員退職慰労金は支給する会社側にも税制面でのメリットが存在します。

会社側の税制メリットとは!?

功績倍率方式で算出された社長を含む役員退職慰労金は、原則として高額すぎないという条件付きで損金算入できることが2018年の税法改正で認められています。
損金算入することで所得を圧縮することができ、法人税等の会社の税負担が軽減されることになります。
本業で利益が出ている場合は節税効果が期待できます。
また、会社の資産を減らして株価を上げることができ、事業承継の面で魅力的な部分もあります。
さらに役員退職慰労金は社会保険料の適用対象外となります。
そのために、会社側が社会保険料を負担する必要はありません。

社長側のメリットとは!?

次に役員退職慰労金を受け取る社長側のメリットについて説明します。
役員退職慰労金は退職所得に該当し、分離課税と呼ばれる方法で課税されます。
分離課税のため他の所得と合算されることなく、役員退職慰労金にのみ税率が適用され優遇されています。

注意すべき点は?

「高額すぎないという条件付きで」という点について前述しましたが、役員退職慰労金は多数の税制メリットが存在するため高額になりがちです。
高額すぎる退職金が社長に支払われた場合、税務当局から「不相応に高額」であるとして認められない場合があります。
そしてこの場合は認められなかった部分は、会社側は損金不算入になり、社長側は課税されることになりますので注意しなければなりません。

役員退職慰労金の税額の計算方法

役員退職慰労金の税額を計算する場合には、勤務年数に応じた「退職所得控除額」を役員退職慰労金から控除し、「所得金額を一律に2分の1」にする優遇処置を適用して計算します。

退職所得控除額の計算方法は以下に従います。

区分 退職所得控除額
一般的な退職 勤続年数20年以下 40万円×勤続年数(※1及び2)
勤続年数21年以上 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
障害者になったことに直接起因した退職 一般的な退職時の算出金額+100万円

※1:勤続年数の1年未満は端数を切り上げて計算します。
※2:勤続年数2年未満による計算結果80万円未満である場合は80万円とします。

社長の退職金の準備方法とメリット・デ メリットの解説

 

 

次に役員退職慰労金の準備方法について説明します。
役員退職慰労金を検討するときは「金融機関からの借り入れを避けるべきである」という注意点が挙げられます。

数千万円の役員退職慰労金を会社の資金から即座に捻出するのは容易なことではありません。
そこで金融機関からの借り入れを利用すると、会社には借入金が残ってしまい、その状態で次期社長に事業をバトンタッチすることになります。
次期社長は先代の作った借金の元利金を返済をする必要があるため、経営の足かせとなってしまいます。

 

そこで「金融機関からの融資に頼らずに」役員退職慰労金を準備する方法を解説します。

経営者保険の利用

生命保険を利用して役員退職慰労金を準備する方法があります。
契約者を会社、被保険者を社長、保険金の受取人を会社にします。
「終身型保険」や「長期平準保険」を利用することにより、社長に万が一のことがあった場合に備えながら、退職時に保険を解約して解約返戻金を受け取り、退職金とする方法です。

◆経営者保険のメリット

1:解約返戻金や契約者貸し付けを利用できる
金融資産である生命保険を利用することにより、資金繰りを助けます。

2:保険契約を現物支給することができる
退職時に、保険金の受取人を会社から社長個人へ名義変更することが可能です。
変更後は社長個人の保障として継続することができます。

3:保険料を損金に算入できる
商品や契約内容にもよりますが、法人保険であれば保険料を損金に算入することが可能です。

◆経営者保険のデメリット

1:会社のキャッシュフロー悪化に繋がる恐れ
数千万円もの役員退職慰労金を生命保険の返戻金で準備しようとすると、保険料が高額になります。
多額の保険料負担により会社の資金繰りに影響を及ぼす恐れがあります。

2:解約時に元本割れする可能性がある
契約途中で解約すると解約返戻金が支払った保険料を下回る可能性があります。
また保険商品により解約返戻率のピークを迎えるタイミングが異なる点も注意が必要です。
参考:第一生命経営者保険日本生命「経営者のための保証」

中小企業倒産防止共済制度

中小企業倒産防止共済制度は経営セーフティ共済とも呼ばれ、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度です。
取引先が倒産してしまった際に巻き込まれて連鎖倒産したり、経営難になったりすることを防ぐことを目的とした制度です。
共済に加入することで貸付制度が受けられるようになるほか、事業所得なら年間最大480万円(20万円×12カ月)が必要経費(法人の場合は損金)になるなど、多くのメリットがあります。
そしてこの制度を利用して経営者を含む役員退職慰労金の準備をすることも可能です。

◆中小企業倒産防止共済制度のメリット

1:掛金を損金算入できる
この制度の最も大きなメリットは、掛金の税制優遇により高い節税効果が期待できます。
中小企業倒産防止共済制度に加入すれば、確定申告の際にその掛金を損金(個人事業主は必要経費)に算入することができます。例えば、掛金を月額20万円にすれば年間240万円を損金に算入することが可能になります。
2:契約者貸付制度が利用できる
共済金の借り入れは無担保・無保証人で受けることができます。
この制度は主に取引先の倒産の際の救済制度ですが、取引先の倒産などが無い場合でも、解約手当金の95%までは借り入れをすることができます。

◆中小企業倒産防止共済制度のデメリット

1:起業後2年目以降でなければ使えない
加入資格は継続して1年以上事業を行っている中小企業に限定されます。
2:加入後1年未満は掛け捨て
加入後12か月未満は解約手当金は発生せず、掛け捨てとなってしまいます。
3:加入後40ケ月までは元本割れ
加入後12ケ月以上40ケ月未満は掛金総額の8割が戻ってきます。
そして加入後40ケ月以上で下記件総額の全額が戻ってきます。
つまり加入後40か月以内は元本割れしてしまうという点に注意が必要です。
また、解約手当金の受け取り時は課税されます。
中小企業倒産防止共済制度は、緊急時に借り入れが可能という保険を掛けながら、掛金を損金にできる制度になります。
単年度の納税額は減り節税効果は高いですが、解約手当金の受け取り時は一気に課税されるので、税負担の先送りになるだけでトータルの負担額は変わらない事に注意せねばなりません。

参考:中小機構「経営セーフティ共済」

小規模企業共済制度

社長が自分自身で退職金を積み立てる方法として小規模企業共済制度を利用する方法があります。
つまり会社のお金を使うのでなく、社長個人の給料から積立を行います。
会社が解散した場合は「共済金A」、65歳以上での退任や病気やケガでの退任の場合等は「共済金B」、それ以外の理由による退任の場合は「準共済金」を受け取ることができます。

◆小規模共済制度のメリット

1:掛金全額が所得控除できる
月額上限7万円までの掛金全額を所得控除することができるため節税効果があります。
また掛金は増やしたり減らしたりすることが出来ます。経営悪化等の理由で支払いが出来ない場合は支払いを止めることもできます。
2:共済金は「一括・分割・併用」から選択可能
共済金の受け取りは「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができます。
一括受け取りを選択すると共済金は「退職所得」扱いになり、分割受取を選択すると「雑所得」扱いになりますので、「事業所得」に比べて税負担を大きく軽減することができます。
3:契約者貸付制度が利用できる
掛金総額の100%程度までを限度に貸し付けを受けることができます。
利率は0.9~0.5%とかなり低い利率で可能です。

◆小規模共済制度のデメリット

1:掛金の全額が返ってこない場合がある
会社の解散や退任などの共済金支払事由が無く中途解約した場合は、解約手当金は最初の1年目は全く支払われません。
また加入後240ケ月になって初めて掛金の100%が支払われることになるため、それよりも前に解約してしまうと元本割れを起こしてしまいます。
20年以上加入しなければ損になってしまうこともありますので、目先の節税効果だけを考慮するのではなく、加入時に十分検討しなければなりません。

2:掛金を減額した場合は、減額分の運用はされなくなってしまう
加入当初の掛金が5万円で10年後に掛金を2万円に減額した場合、この差額の3万円分は運用されません。
つまり減額してしまうと、解約手当金を受け取るのも、そのまま積立を続けるのもどちらも損になってしまいます。
減額しなくていいように、無理のない範囲で掛金を設定する必要性があります。

参考:中小機構「小規模企業共済」

企業型DC(企業型確定拠出年金)

企業型確定拠出年金制度(以下、企業型DC)とは会社が掛金を毎月積み立て、従業員が退職金や年金の運用を自ら行う企業年金制度です。
企業型DCとも呼ばれ日本では2001年に作られた国の制度です(確定拠出年金法)。
この企業型DCを利用して役員退職慰労金を準備することも可能です。

◆企業型DCのメリット

①掛金が非課税に
掛金は所得税・住民税の対象外となり全額非課税で積み立てが可能です。会社が負担する掛金は、福利厚生費として損金計上できます。
また選択性と呼ばれる年金プランで設計を行うと掛金が社会保険料算定の対象外となるため社会保険料の適正化にも繋がります(つまり社保が安くなるということです)。

②運用益が非課税に
企業型DCを活用すると積み立てた資産の運用益が非課税です。年金資産を効率良く積み立てできます。
通常、金融資産の運用益はおよそ20%課税されます。
確定拠出年金制度で運用した金融商品の儲け(運用益)は税金が引かれません。

③受け取り時も税制優遇
一時金受取(まとめて受け取る)も年金受取(分割で受け取る)も税制優遇されます。

その他企業型DCにはメリットが会社、経営者・役員、従業員の三者が全て恩恵を受けることができるメリットがたくさんあります。
次の章でもう少し詳しく説明していきます。

◆企業型DCのデメリット

①途中解約ができない
積み立てた年金資産は「一定の年齢(60 歳以上)の到達」「障害の認定」「死亡」以外での、途中引き出しは原則認められていません。
②拠出の停止ができない
原則途中で掛金の拠出を停止することができません(減額・増額は可能です)。
ただし、休職期間、育児・介護休業期間中(会社都合以外の自由に限る)のうちの無給期間については規約に定めることで掛金の積立てを停止できます。
③厚生年金・失業給付などが減る可能性がある
企業型確定拠出年金では拠出した掛金が全額非課税となるため、社会保険料を算定する標準報酬月額が減少することになります。
社会保険料負担が減るということは、その分将来受け取る老齢厚生年金や失業給付などの受給額に影響が出ることがあります。

中小企業の社長におすすめの退職金制度、企業型DC

前の章では役員退職慰労金を準備する方法や制度を一挙に解説してきました。
どれもそれぞれにメリットもデメリットもありますが、1番おすすめは企業型DCの利用です。

企業型DCとは

企業型DC(確定拠出年金)とは会社が掛け金を毎月積み立て、従業員が退職金や年金の運用を自ら行う企業年金制度です。日本では2001年に作られた国の制度です(確定拠出年金法)。当時すでにアメリカで成功した制度を真似て、日本に取り入れられました。
つまり国が推奨する企業年金・退職金制度です
企業型DCの全容については「企業型確定拠出年金制度(企業型DC)の解説」をぜひお読み下さい。

企業型DCは社長の退職金作りに最適ですが、他にも様々なメリットがあります。

  • 人件費削減
  • 求人反応UP
  • 優秀な人材の確保
  • 社員のモチベーションUP
  • 初期コスト・ランニングコストが軽微(節税効果でコストはカバーできてしまうことも)

「退職金制度や福利厚生制度っていうと会社の固定費が増えてしまうんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、導入プランにより会社負担の掛け金なしで制度を導入することができます。

退職金制度がない会社にオススメ!

「退職金制度がない会社」に企業型DCは最もオススメできます。社長個人の退職金作りが出来ること以外にも多数のメリットがあります。

企業型DCとは簡単にいうと、

  • 社内に退職金制度を作ることでき、
  • 従業員の給料から退職金を積み立てるので会社負担は小さく、
  • 積み立て投資によって退職金を増やすことが期待でき
  • 社員が払う所得税や住民税、社会保険料も減らすことができ
  • 社長個人の税金(所得税、住民税、社保)も減り
  • 社会保険料の会社負担分も減り
  • 社内の福利厚生制度が充実するので
  • 優秀な人材を採用しやすくなり
  • 今いる既存社員の定着率も良くなり
  • 銀行に貯金するよりも有利に増やせて
  • 会社の資金繰りも良くなる

こういう制度です。

つまりこの制度を利用すれば会社も経営者も従業員も、三者すべてが恩恵を受けることができます。

退職金制度の導入を検討している社長はまず、企業型DCをご検討ください!

保険や中退共を利用している会社におすすめ!

企業型DCは退職金制度が全くない会社だけでなく、

  • 保険で退職金制度の代わりにしている会社
  • 中退共を利用している会社

このような企業にもおすすめの制度です。

既存の保険・中退共などでは十分な退職金原資を確保できていない場合、
既存の制度をそのまま利用しつつ、さらに「退職金原資を底上げ・補完」するために企業型DCは役に立ちます。

軽微な費用で導入可能

企業型DCの節税効果により導入費用やランニングコストを相殺できてしまうケースが多く、会社の固定費を増やさずに福利厚生制度(退職金制度)を充実させることができます。

  • デメリットは何があるの?
  • 社長個人も加入できるの?
  • 社員2,3名だけど加入できるの?
  • 税制の仕組みをもっと知りたい

などの詳細については以下記事をぜひお読みください。企業型DCの全容を分かりやすく解説しています。
【網羅】企業型確定拠出年金制度(企業型DC)の解説

【執筆者】杉山綜合財務管理株式会社 杉山広
(AFP、IFA、確定拠出年金教育支援協会公認コンサルタント)

当社、杉山綜合財務管理株式会社について(導入に迷われたらご相談ください)

当社はSBIベネフィットシステムズと業務提携し企業型DC「SBIみらい年金プラン」の導入および保守をしています。導入前から導入後まで徹底してサポートを行います。

福利厚生制度の導入を検討している会社は「事務負担が増えないだろうか・・・」
このように懸念されていると思います。しかしご安心ください。

制度導入にあたって下記業務について当社にお任せ下さい。

  • 導入前のプラン選び
  • 導入前後の事務負担
  • 継続投資教育(年1回~2回)
  • 加入者個人のライフプランニング
  • 従業員の採用・退職、掛け金の変更などの事務

これら、企業型DCに関連する事務サポートから継続投資教育まで一貫して行います。つまり丸投げしてOKということです。

安心して企業型DCを活用いただけます。

資産コンサルティングのプロが担当します

企業型DCは毎月の掛け金を投資信託で積み立てるので、資産運用しながら年金(退職金)を積立てていく」という特徴が挙げられます。加入者(役員、従業員)みずから投資・資産運用をするという点が重要なポイントです。

資産運用、投資というと苦手意識を持つ方が多く、

  • そもそも資産運用なんかしたことない
  • 投資って怖い、胡散臭い
  • イイ制度なのは分かったけど何から始めればいいのか・・・
  • 積み立てる投資信託の選び方が分からない
  • 毎月、いくら掛ければいいか分からない
  • 投資信託の配分をどうしたらいいだろうか
  • 自分に合った商品が分からない

このような不安やお悩みを持っている人が大半です。

代表の杉山は長年、証券会社で多数の実績を積んでまいりました。これまでに1000人超のお客様、60億円を超える資産のコンサルティングを行ってきたことで、お客様の様々なお悩みやお困りごとを解決してきました。

  • 投資経験が全くない人
  • どう制度を活用すればいいのか
  • 自分に合った積み立て商品の選び方
  • 毎月いくら積み立てれば老後資産を十分に確保できるか
  • 20年間積み立てた場合、いくらになるのか

などなど、いざ企業型DCを活用するときに感じる疑問やお困りごとを当社なら解決することができます。

確定拠出年金制度をご検討の会社、担当者の方がいらしたらぜひご相談ください。

ご相談から導入までの流れ

企業型確定拠出年金についてご相談があれば、一般的には下記のような流れになります。

  1. 問い合わせ
  2. 現状の課題、解決したい問題のヒアリング
  3. 企業型DCの設計案、提示
  4. 設計案の調整
  5. 導入
  6. 導入後の保守および継続投資教育(年1~2回)
    ※他、各種事務手続きは随時受けつけていますので導入企業の手数を増やしません。

◆打ち合わせは電話や面談、ビデオ会議(Zoom等)、メールなどを利用して行います。

◆その他、ご不明な点などがあれば、まずはお問い合わせいただければ幸いです

ご要望をお気軽にお知らせください

045-352-8942045-352-8942

受付 / 毎週水曜日定休日 10:00 ~ 18:00

Case

お客様からの相談事例をご紹介します。
皆様のお悩みと同じ事例がありましたら、参考にしてください。

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