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2022.09.20 法人向け

中小企業は上場を目指すべき?

中小企業として日々奮闘する経営者にとって、上場を目標と掲げている方も多くいるでしょう。上場すると資金調達がしやすくなり、社会的な信用度や知名度も一気に上がります。

事業の発展のきっかけとなり得る上場ですが、反面、上場することで生じるリスクや注意点も考慮する必要があります。

本記事では上場までのステップやメリット・デメリット、大企業にも関わらず上場しない企業について、その理由を解説しています。

株式上場とは

上場とは、株式を一般公開して売買可能にすることです。上場することで広く資金を集めることができ、事業規模を拡大していくことが可能です。
株式の売買を行う市場を株式市場と呼び、代表的なものは「東証プライム(1部)」「東証スタンダード(2部)」「「東証グロース(マザーズ&ジャスダック)」の3つです。

株式上場までのステップ

上場するには多くのステップを踏む必要があります。

一般的には上場するには少なくとも3年前後の期間がかかるといわれており、綿密なスケジュールを立てたうえで準備を進めることが大切です。

上場2~3年前

準備の開始が最低で2~3年前とされているのは、新興企業が対象のグロース市場の場合でも、上場審査の際には最低1期分の決算に対して監査法人からの監査意見が必要なためです。

監査証明を出すには、監査法人はその前の期から任意監査に入る必要があることから、おおむね最低3年は準備が必要ということになります。

この段階では監査証明の手続きを進めることはもちろん、株式上場の方針を定めるとともに全体のスケジュール決め、プロジェクト発足などを進めていきます。

既存の株主からの基本的な同意を得たうえでの資本政策検討や、主幹事証券会社の決定もこの時期に行います。

上場2~1年前

上場2~1年前には監査法人や主幹事証券会社とミーティングを行いながら、上場に向けて社内の体制を整理・構築していきます。

上場するには、証券取引所が定める基準に適合することが必要で、審査があります。

審査は

  • 株式数や株主数
  • 利益といった数値で判断されるもの
  • 情報を適切に発信できているか
  • 事業を公正かつ忠実に遂行しているかどうか
  • 企業内の内部管理体制が有効か

といった企業体制によって判断されるものがあります。

企業体制は一朝一夕で作られるものはありません。この時期に規程類や経理体制の整理といった社内の体制を強化していくことが必要です。

上場1年前~直前

ここまでで必要なルールや体制を整えて置いたうえで、最終的なチェックを行います。

また、上場に必要な申請書類や投資家向けの説明資料作成、株式の売り出しや募集数の設定といった詰めの作業をしていきます。

証券取引所の最終的な審査が問題なく完了すると、上場する具体的なスケジュールを決めていき、有価証券届出書や目論見書といった必要書類を提出したうえで、上場日を迎えることとなります。

株式上場するメリット

上場すると様々なメリットを受けられ、会社のさらなる成長に大きく寄与することが期待できます。

社会的信用度や知名度が向上する

上場審査を通過した「上場企業」ということで、社会的信用度や知名度が向上します。

信用度や知名度が向上することで、

  • より優秀な人材が集まる
  • 取引先の拡大
  • 従業員のモチベーションが向上

このような企業の成長を後押しできる効果も期待できます。

資金調達がしやすくなる

上場すると一般の投資家に株を売却し、代わりに資金を得ることができるため、資金調達がしやすくなります。

資金調達が速やかに行えると、設備投資を適切なタイミングで行えるようになるなど、事業運営をより効果的・効率的に行えるようになります。

社内の管理体制が強化される

上場するには、上場企業に見合った内部統制体制を構築する必要があります。

会計制度や業務管理制度、利益管理制度などを整備し、適切に運用していかなければなりません。

創業者利益を増やせる

上場すると多くの場合株価が上昇するので、持ち株の資産価値が上がります。

さらにその資金を有効活用し、事業を拡大することで、また資産価値を増大させるといった好循環を生み出せることもあります。

上場のデメリット

株式上場のデメリットについてもきちんと把握しておきましょう。

コストと時間がかかる

上場するには、社内体制の整備が必要です。社内のプロジェクトチーム発足、監査役会や会計監査人の設置、外部専門家との協力、証券会社の審査といったようにコストと時間がかかります。

上場後も、年間上場料や監査報酬、株式事務代行手数料といったランニングコストがかかる点も忘れてはなりません。

株主が経営に関与する

上場すると、株主が経営に関与してきます。
会社のあらゆる意思決定の際には独自で進めることはできず、株主の意見も尊重する必要があるため、会社の独断で自由に経営を進めることが困難となってきます。

社会的責任と買収リスク

上場するとただ利益を出せばよいというわけでなく、上場企業に見合った対応をしなければなりません。

四半期ごとに決算情報などの会社情報を開示する必要があります。高いレベルのコーポレートガバナンスが求められます。
誰でも株式を購入することが可能なため、他社からの買収により経営権を奪われてしまうリスクも存在します。

上場していない大企業、その理由は?

大企業であっても上場しない選択をする場合があります。上場していない大企業について、いくつか理由を見ていきましょう。

自由に経営がしたい

上場すると株主の意見が経営を左右してきます。業績について説明をしなければならず、時には経営層の刷新や社長の交代を求められることもあるかもしれません。特に近年は「物言う株主」が増えてきており、上場すると自由な経営ができなくなります。
いつまでも自分たちの意見を最優先に動いていきたい場合、上場をしない選択をとる企業もあります。

有価証券報告書を提出しなくてよい

上場すると企業の概況や事業の状況、財務諸表などが記載された有価証券報告書を提出する必要があります。これは投資家保護の観点から、投資判断を誤らせないためという目的があり、必ず行わなければなりません。

正確な情報を開示する必要があり、上場企業はこの報告に多くの時間とコストをかけて準備をしています。非上場企業は提出義務がありませんので、この時間とコストを抑えることができるといえます。

非上場企業でも株主の数や会社の規模といった要件を満たす場合は有価証券報告書を提出する義務がありますので注意しましょう。

買収の危険性がない

上場すると一般投資家でも株式を購入できますので、第三者による買収リスクが存在します。昨今は競争の激化やグローバル化を背景に、TOB(敵対的買収)も注目を集めています。
非上場であれば、これらの望まない買収を回避し、自分たちの経営に集中することができるでしょう。

中小・ベンチャー企業の上場 まとめ

中小企業は上場することで会社規模の拡大や従業員のモチベーションアップ、社内の管理体制の強化といったメリットが期待できます。

しかし同時に、果たすべき責任は大きくなり、不祥事などが起きた際の影響が大きくなったり、買収のリスクも存在したりします。

上場する際には、これからのステップをしっかりと確認するとともに、メリット・デメリット両方を踏まえた事業の発展についても考慮しておきましょう。

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