「NISAはやるな、危険!」
「日経平均は3,000円になる!」
「資本主義は終焉する!」
マーケットの将来予測として、このような言葉が飛び交えばドキっとしませんか?
逆に、あまりにも荒唐無稽で到底信じられないと思うかもしれません。
これらの大胆なマーケット・株式市場に関する予測は森永卓郎氏が主張しているものです。
森永卓郎は(1957年7月12日生まれ)モリタクの愛称で親しまれ、獨協大学経済学部教授であり、日本の経済と投資動向を予測してきた著名な経済アナリストでもあります。森永氏のマーケット予測・相場感は非常にユニークで、ド定番として推奨される「長期・積立・分散投資」に対して異議を唱え、むしろ危険性を訴えています。投資非課税制度であるNISAについても同氏は「危険!」だと警鐘を鳴らしています。
この記事では、現役証券マンである筆者杉山が、プロの目線で森永氏の言説について考察と解説を行います。
目次
執筆者プロフィール
杉山 広(すぎやま ひろし)
杉山綜合財務管理株式会社 代表取締役。
1985年生まれの男、妻と3人の息子を持つ父、大阪出身、横浜在住。
大卒後、証券会社へ入社。証券会社時代の6年半で1000名超の個人・法人のお客様を担当し、60億円を超える資産運用のサポートを行う。2015年にウェルスマネジメント専門の金融アドバイザーとして独立、2019年に当法人を設立。個人顧客を中心に証券投資と不動産投資を組み合わせたウェルス・マネジメントを提供。
森永卓郎いわく、日本株はバブル 本当か?
Newspicks運営のYoutube動画によれば、森永さんは非常にショッキングで大胆な予測を展開しています。
動画内の森永さんの相場感の概要は、次のとおりです。
ーーーーーモリタク相場感概要 ここからーーーーーーー
2024年初頭、日本株は急激に上昇し、日経平均株価は同年7月に42,000円台を記録。しかし翌8月には急激な下落を見せ、ブラックマンデー再来と言われました。森永氏は、この株価の乱高下や各種指標から読み解けば、将来、日本株がバブル崩壊を引き起こすと主張しています。特に、実体経済と株価の乖離が大きくなっている現状を警戒すべきだと強調しています。
森永さんはCAPEレシオ*1、バフェット指数*2から、日本株は極端なバブル状態だと判断しています。
※capeレシオとバフェット指数は株価の割安・割高を判断する指標のこと。本段落下部にて簡単に説明。
仮にバブル崩壊となっても、いずれ経済や株価は回復するのだから投資は続けるべきでは?と思うかもしれません。その点については森永さんは次のように答え、明確に否定しています。
「暴落後は株価が戻らないだろう。資本主義が終わるから。」
ーーーーーモリタク相場感概要 ここまでーーーーーーー
まぁ・・・、あの、、資本主義が終わるとかいう話は、いったん横に置いておきましょう。
そもそも、現在の日経平均株価がバブルなのか、バブルではないのか、について数字を用いて検証してみたいと思います。
経済指標から読み解く 日本株はバブルか?
まずは下記の表をさらっと見てください。見て分からなければスルーして表の下の解説文を読んでください。
1989年12月(バブル絶頂期) | 2024年3月 | |
純利益 | 6兆円 | 44兆円 |
経常利益 | 38兆円 | 95兆円 |
PER | 61.7倍 | 16.5倍 |
PBR | 5.6倍 | 1.5倍 |
GDP(名目) | 444兆円 | 596兆円 |
三井住友DSアセット2024年3月13日付まだ間に合う?日本株投資「日本株高所恐怖症」への処方箋より上記図を作成
株価の割高感をみるときにPERやPBRといった指標が参考にされます。これらの指標は数値が大きいほど、割高であると判断されるわけですが、少なくともPERとPBRを見る限りでは日経平均2024年3月末時点(40,369円)は割高と言えません。
平均株価の値を比較して、「バブル期の株価を超えたから2024年の日本株はバブル」と判断するには少し材料が足りないといえるでしょう。
銀行貸出残高から読み解く 日本経済はバブルか?
2024年の日本株・日本経済がバブル状態であるかを検証するには、1980年代におきた日本のバブル経済について情報を整理する必要があるでしょう。
1980年代のバブル経済について、簡単に説明すると次のとおりです。
- 1985年のプラザ合意によって短期間で大幅な円高になる(242円→150円)
- 円高で製造業が苦しむ(輸出不振)
- 業績不振企業の救済のため中央銀行は政策金利を引き下げ、銀行は貸出を増やした
- 貸出が大幅に増えて金余り→株式や不動産へ資金が流れバブル経済へ
余った金で投資かい!とツッコミたくなるかもしれませんが、実際そうだったのです。
金は無いと困りますが、たくさんあっても使いみちに困るものです。結局、だぶついた資金が不動産や株式に急流入し資産価格を押し上げました。
さて、本題の銀行貸出の話をします。
バブル期の銀行貸出残高の伸びは凄まじいの一言です。国内銀行貸出残高は1985年は209兆円であるのに対し、1991年には436.7兆円まで増えています。わずか6年で銀行貸出残高は2倍に増えているわけです。*3
という話をすると、「あれ?今も金融緩和しているし、低金利で銀行貸出が増えているから状況は同じじゃないの?」と思うかもしれません。
確かに1980年代のバブル経済と2013年以降とでは「低金利・金あまり」という状況は共通しています。
他方、大きく異なる点は銀行の貸出残高の増加割合です。
前述のとおり、バブル時代の銀行貸出は短期間で急激に増えました(6年で2倍)。2013年以降、自民党政権において大規模金融緩和政策が採用され、バブル期と同じように銀行貸出残高は増えていきます。銀行貸出残高は2012年3月末で426兆円ですが、2024年3月末には587兆円にまで増えています。*4
12年間で貸出残高はおよそ1.38倍増です。
銀行貸出残高は、バブル時代は6年で2倍、2012年後半以降のアベノミクス時代では12年で1.38倍。
比較すれば大きな差があることが分かるはずです。
バブル期の貸出増加ピークの1991年における日本のGDPはおよそ491兆円、他方2018年の日本のGDPは550兆円ほどです。*5
GDPの差は12%ほどですが、市中に流し込まれた金の量は数字でみても段違いです。
1980年代の日本のバブル経済は、このように、多額の銀行貸出金が株や不動産へ流入し、資産バブルとなったわけです。
2012年以降は金融緩和と景気拡大によって銀行貸出は増加しているものの、バブル期ほど急激な増加は見られません。また、現在では「純粋な投資」という目的だけでは銀行がお金を貸してくれなくなっています。このことから80年代バブルと同じような資産バブルが2024年の日本で発生しているとは考えにくいといえるでしょう。
金融政策の出口戦略から読み解く 80年代のバブルと比較
1980年代バブルが崩壊した最大の原因は、「出口戦略を盛大に間違えたから盛大にバブルが崩壊した」といえるます。バブルは自然と崩壊したのではなく、財務省(当時は大蔵省)が実施した総量規制によって潰された、といっても過言ではなりません。
総量規制とは日本のバブル経済下で、不動産投資を抑制するために、銀行による貸出を急激に減らすよう財務省が行った融資規制ですが、実質的な金融引締め策です。
この総量規制によってバブル崩壊が引き起こされました。バブル崩壊の大まかな流れは次のとおりです。
- 総量規制によって銀行は金を企業や個人へ貸さなくなった。
- 銀行借入金の多くは株式投資や不動産投資へ流れていたが、その流れが一気に止まった
- 株価や不動産価格が暴落
- 株式や不動産を担保に借り入れをしていた企業(ほどんどの会社)は銀行からの融資が止まる。
- そもそもプラザ合意による円高等で実体経済は悪化している
- 倒産ラッシュ
- 銀行は大量の不良債券を抱える(いくつかの大銀行は潰れた)
- 長い長い日本の景気低迷(20年ぐらい)
つまり、2013年から続く金融緩和政策について、出口戦略を間違わなければ、株価暴落は起きないと言えます。2024年時点の日銀の金融政策を見る限りでは、極端な引締めがあるようには見えません。
資産のポジションから読み解く 今ってバブル?
また、80年代と今とで大きく違うのは、長い景気低迷によって日本人の多く(個人も企業も)は現金志向になりました。
近年、企業の内部留保(正確には利益剰余金。必ずしも現預金ではない)が膨れ上がっているものの、純粋な投資として株式や不動産を保有している企業はバブル時代と比較すれば極めて少ないのです。
仮に日経平均株価が暴落したとしても、担保価値毀損等で資金繰りに困る企業はほとんどありません。
不動産についても同じことがいえます。東京都心(23区内)の不動産価格は例外的に大幅上昇していますが、日本全体で見れば不動産価格や上昇率はバブル時代のものとは程遠いといえるでしょう。この点からも、不動産価格の暴落によって資金繰りに窮する企業が増えるとは考えにくいわけです。
そもそも、不動産価格は都心を除けば、バブルというほど膨らんでいません。膨らんでいないならば弾けようがありません。
バブル時代は企業の多くが借入金で純粋な投資として株式や不動産を購入していましたが、今はそんな会社は例外的少数ですし、銀行が金融・不動産投資目的では中々お金を貸してくれなくなっています。
企業(個人も)のお金の置きどころが、バブル期は株や不動産である一方で、現在は現預金や事業投資となっています。バブル期と今とでは、資産ポジションが全く違うので、バブルが起きているとは考えにくいでしょう。仮に何らかの理由で資産価格が暴落したとしても、企業も個人も投資をしている人はせいぜい10に1つであるから、バブル崩壊ほどネガティブな事にはならないと考えられます。
日本人の投資心理から読み解く 80年代と2024年の違い
日本は戦後復興から高度経済成長期に至り、バブル崩壊直前までは株価も土地も右肩上がりでした。つまりバブル期の日本人にとって、「株価は上がるもの。土地価格は上がるもの。株や土地を買っておけば将来儲かる。」という共通認識、一種の「神話」がありました。
この心理的土台があるから、あまったお金が株や不動産に流入しやすかったのです。大企業だけでなく、そこらへんの町の中小会社までもが純粋な株式投資や土地ころがしをやっていたのだから、今の時代では考えられないですよね。
そして、バブル崩壊以降、企業は設備投資を抑え、新規採用を減らし、労働者の給与・退職金を減らすなど、縮小に縮小を重ねてきました。結果として日本企業の内部留保額(剰余金、現預金とは限らない)は莫大なものとなりました。本来ならば、本業で儲けが蓄積されているならば、さらなる売上・利益拡大のため企業は設備投資や人員増員をするものです。しかし、実際はそうなっていません。
企業の利益が新たな設備投資や人員増加には使われなかった理由の1つとして、バブル崩壊とその後の長い景気低迷に対する警戒心と現金信仰(現金が一番安全)がいまだに企業や個人に根強く残っているからです。つまり「金があまっている。よし、株か土地でも買おうかな」とはならないのです。
心理面での違いによっても、バブル期と今とでは大きな差があり、現在が資産バブルとなっているとは考えにくい理由の1つです。
以下、出典元
*1 CAPEレシオ(Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio)は、過去10年間の平均利益を調整して株価収益率(PER)を算出した指標で、株式の長期的な割高・割安を評価するために使われます。経済学者ロバート・シラーが提唱したことから「シラーPER」とも呼ばれます。CAPEレシオが高いほど株価が割高と判断され、逆に低ければ割安とされる傾向があります。
*2 バフェット指数(Buffett Indicator)は株式市場の過熱感を測る指標です。計算式は「当該国の株式時価総額÷当該国の名目GDP×100」。般的に、100%を超えると市場が割高と見なされることが多い。株価が実体経済に対して過大評価されている可能性があると考えられ、ウォーレン・バフェット氏はこの指標を参考にしています。
*3 rakuten infoseek 金融危機、経済停滞への一途…日本中を震撼させたその時“データ”はどう動いたのか
*4 全国銀行協会 平成24年預金・貸出金残高 2024年預金・貸出金残高
*5 世界の経済・統計 情報サイト 日本のGDP推移
NISAは危険ヤバイやるなbyモリタク それってマジ??
NISA制度は、投資非課税制度として多くの日本人に利用されていますが、下記動画にて、森永氏はNISAは危険だと主張しています。
「日経平均株価は回復せず、S&P500は10分の1に」新NISAの失敗リスクを、ガン余命宣告の森永卓郎が警鐘【森永康平・加藤浩次】2Sides
動画内で彼は次のような趣旨で相場感を展開しており、興味深い内容です。
- 日経平均は2024年末には1万円を割って、最終的に3000円になる。
- 中高年が今からNISAをやるのは絶対だめ。
- 若い人も今からNISAをやるのは危ない。みんなNISAでオルカン(オールカントリー、インデックスETF)ばっかり買ってる。特にアメリカは足元はITバブルにある。だから買うな。
- 長い目で見れば積立や複利投資をすることによって資産は増えるというが、株価が上がり続けるという前提が疑問。資本主義が終わるから株価は戻らない
ちなみに、本動画で森永卓郎さんの息子(長男)である森永康平さんが対談相手として出演しています。
康平さんいわく、
「父(卓郎)はかれこれずっと、「今はバブルでもう崩壊する」と、言い続けている。私(康平)が小さい頃からずっと言っている。」とのことです。
そこで、NISAは危険なのか、やらないほうがいいのか、という事についてプロの立場で解説しますが、、、、。
まぁ、、あの、、言うまでもないのですが、NISA自体は単なる非課税制度ですので、投資をするならば利用したほうがお得ですし、危険でもないです。
森永氏がNISAは危険!といっている趣旨は「NISAに釣られて、株価がすっ高値の今、投資を始めるのは危険」だということです。つまり彼が警鐘を鳴らしているのは、投資を始めるタイミングのことですね。高値づかみに注意してね、ということです。
仮に現在の株価水準が非常に高い・買われすぎ・加熱している、としても、NISAを利用して(NISAではなくてもいいが)長期・分散・積立投資を行っていれば、長い目で見れば資産を増やせるでしょう。
という想定の範囲内の回答で終わります。
が、そうは森永氏が許してくれません。彼は次のように主張します。
「積立投資は今後資産価格が下がっても、いずれ上昇に転じるのだから大丈夫。世界経済は毎年安定して成長している、という前提だから儲かるんだ。その考えがそもそも間違っている。これから到来する暴落によって資本主義は終焉を迎えるから、株価は元に戻らない。戻らないのだから、NISAに釣られて投資なんかするな。」
とまぁ、なかなか大胆な予測ですね。
資本主義が終焉を迎えることについての根拠は彼の著書において言及がありますが、マルクスの論理が出てきたり、まぁそこは一歩引いて見ておけばいいかなと思います。
結論として、森永氏の「NISAはヤバイ」という主張は、NISA制度の危険性ではなく、流行りのNISAに釣られて金融商品を高値づかみしないでね、という警鐘と捉えたほうがいいでしょう。
投資依存症・著書 から読み解く 資本主義は終わる?
さて、彼の言説の展開として、よく出てくるのが、「資本主義が終わる」という話です。
「もうすぐバブルが崩壊して、株価は暴落し、もう回復しない。なぜ回復しないのか、というと資本主義が終わるからだ。」ということを森永さんは動画でも著書でも主張しています。
せっかくなので、この点についてもプロの目線で・・・・考察していきましょう。
資本家と労働者の格差拡大
森永さんは、資本主義が終焉する1つの要因として、所得格差を挙げています。
著書・投資依存症では次のような趣旨で話を展開しています。
「2003年から2023年のあいだで、トヨタ自動車の労働生産性は1.5倍になったが、従業員の給与は11%程度しか上昇していない。にもかかわらず創業者一族である豊田章男会長の2023年3月期役員報酬は前年比40%増の9億9900万円もある。」
こういった資本家と労働者間の所得格差拡大が社会に軋轢を生み、最終的に資本主義終焉の要因となりえるとのことです。
余談ですが、トヨタほどの大企業トップが受け取る役員報酬額が10億円ほどであれば、世界的にみれば決して多くはありません。米国をみれば、サラリーマン社長でさえトヨタ会長の2倍3倍の役員報酬を受け取っている事例は多数あります。 参考:東洋経済 ケタ違い!これが米国CEO報酬トップ300だ
トヨタのケースでいうと、2003年から2012年は日本経済はバブル崩壊の余韻を引きずっており、低成長デフレ経済真っ只中でした。2008年には未曾有の世界金融危機と言われたリーマンショックが起きています。そういったなかでも、トヨタ自動車は従業員の給与が減らさず、むしろ増やしていることは本当に凄いことです。
給与は一度上げたら、簡単には下げられません。社員の生活がかかっているのでベースダウンをすれば、子育て、親の介護、マイホームのローン返済などライフプランに多大な悪影響があります。給与を上げれば社会保険料の会社負担分も増加しますから、ベースアップはとにかく会社側の負担が大きいのです。
とはいえ、所得格差の拡大は、必ず社会に歪みをもたらしますし、階級の固定化が進むとも言われています。
所得格差拡大を理由に資本主義が終わるとは私は思いませんが、富がごく一部の超富裕層に集中することは資本主義体制下では避けられないことだといえます。
資本主義の終焉
著書・投資依存症では、森永氏はマルクスの論理を持ち出し、資本主義の終焉を説いていますが、、、
前段で書いた通り、資本主義経済において資本家と労働者の格差拡大は避けられません。そこで、資本主義よりも平等な経済・社会体制であればいいのでは?と考えて出てきたのがマルクスによる社会主義思想です。社会主義では資本家を悪とし、政府が富を平等に労働者へ分配すべきであることを説きました。一見すると不公平・貧困が解消され、誰もが幸せになれそうな気がします。
実際にその理想を目指して、社会主義国家が第二次大戦後たくさん生まれましたが、結果はどうなったでしょうか。
現代の地球上において、資本主義経済の国より格差が拡大し、貧困が蔓延し、労働者の人権が守られていないのが社会主義国家なのです。まずもって、1991年のソ連崩壊によって大半の社会主義国家は滅びました。残っているのはソ連の後継たるロシアのほか、中国、北朝鮮、ベトナム等、わずかな国です。
これらの国が「どういった国なのか」、説明するまでもないでしょう。
資本主義は万能ではありませんが、少なくとも今の地球上においては最もマシな政治・経済体制であるといえます。
ときに政府と同等かそれ以上に力を持ちつつある巨大資本企業が誕生した現代では、富を政府が取り上げ、分配するという事をそれら巨大資本が許すとも思えません。資本主義よりも高度な政治・経済体制が生まれることを私自身願っていますが、100年か200年か当面は資本主義が世界の政治経済体制の主流であることは変わらないでしょう。
インフレは続く
さて、大胆な森永卓郎氏の経済予測を参考にしつつ、2024年以降の日本経済について話をしましょう。
まず、大きなポイントとして、インフレと円安株高は続く、であろうこと。
金利のない時代が終焉し、2024年11月の日本の長期金利は1%を超えてきました。金利のある世界・インフレ時代の幕開けといえます。
2024年11月米国でドナルド・トランプ氏が大統領へ再選し、今後米国は減税と利下げにより、引き続き景気拡大が続くでしょう、また、中国を国際的サプライチェーンから締め出す動きはトランプ政権下で加速することは間違いないといえます。半導体受託製造大手TSMCや米国大手IT企業が日本に直接投資をしている理由は世界の工場であった中国の代替先が日本であることを意味します。
為替の動向を見ても、インフレが継続することを示唆しています。2022年から2024年までの間でドル円は110円から160円まで動きました。行き過ぎた円安を牽制するといいつつ、政府・日銀はほぼ放置しています。このことは、サプライチェーンの中国外しからの代替先としての日本を安くしておきたいという意図が日米間で共有されているのではないかと、考えられます。
NISAの広がりによって投資を始める日本人が増えたことはインフレ時代の幕開けを考えると、好ましいことです。とはいえ、まだまだ預金偏重の資産構成になっている人が多いことでしょう。
現預金しか持っていない、ということは、投資でいうと「全財産を現預金の一点買い、フルベット」している状態です。インフレ時代に預金フルベットはあまりにも危険な行為です。投資を好む好まないに限らず、投資しないと資産防衛すらままならない時代に突入したことを認識していただけると幸いです。
ガン保険いらない・トカイナイカ移住・分散勤務 面白い論考
森永卓郎さんは、マーケット予測についてはむちゃくちゃなことも言ってますけど、面白い論考もあります。
- 民間の医療保険とがん保険は不要
- トカイナイカ移住 都市部から50km程度の離れた場所に住もう
- 分散投資より分散勤務、副業は本業に関連する専門性が高いもの。それ以外はポシャる可能性高い。
個別に解説と感想を書きたいと思うのですが、長くなりすぎるので割愛します。
インフレ時代を生き抜く知恵とスキルを手に入れましょう。
ガンからの復活を願う
非常にユニークで独自の視点を持つ森永卓郎は唯一無二の存在だと思います。ぶっ飛んだ論説も多いですが、なるほどと納得させられる内容も沢山あります。自分の思考ルーティンから抜け出すスパイスとして彼の論考は大変役に立つといえます。
森永卓郎さんは2024年11月時点で膵臓ガンであることを発表されています。彼が病に負けることなく、克服することを切に願い、また、彼の闘病を応援しています。
執筆者
杉山綜合財務管理株式会社
代表 杉山広
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