オーナー企業と聞くと「仕事に支障がありそう」「ワンマン経営でブラックっぽい」「福利厚生が充実してなさそう」といったネガティブなイメージを持っていませんか?
また、経営する側もこれから起業を大きくしていくなら「このままファミリービジネスでやっていっていいのか?」など不安点があることでしょう。
この記事ではオーナー企業のメリットとデメリットを中心に、就活生や転職者に選ばれる企業になるためのポイントなどもお伝えしていきます。
目次
オーナー企業の概要と現状
オーナー企業とは?
オーナー企業とは、創業者から一族で経営をしている企業のことを指します。
同族経営もしくはファミリービジネスと言われ、日本ではお家騒動や一族以外の経営陣との摩擦など良いイメージが持たれていません。
しかし、海外ではウォルマートやフォルクスワーゲン、ナイキなど名だたる企業がオーナー企業として名を連ねており、
各国での企業としての地位は高く評価されています。
その理由には収益性や株価の安定などが考えられます。
実際、日本も長く続くオーナー企業は収益や株価が安定している企業が少なくありません。
日本国内におけるオーナー企業の現状について
国税庁が令和2年に行った会社標本調査によると、国内法人約280万社のうち同族会社(特定同族会社を含む)は96%を占めるという結果が出ています。
企業の規模で見てみると、資本金100億円を超える大企業の場合、
オーナー企業は半数を若干下回ります。
しかし1億円未満の企業だと、9割以上がオーナー企業という現状です。
引用元:国税庁 会社調査結果
日本の代表的なオーナー企業3社
日本国内にある約96%の企業がオーナー企業で成り立っています。
次に代表的なオーナー企業を2社ご紹介します。
日清食品ホールディングス
日清食品ホールディングスは、創業者から3代に渡って続くオーナー企業です。
代表取締役である安藤宏基氏は、日清食品の創業者である「安藤百福氏」の次男に当たります。
昭和48年に日清食品に入社しました。百福氏と対立した実兄が社長を退任した2年後、
37歳のときに日清食品の社長に、60歳のときに日清食品ホールディングスの設立に伴いCEOに就任しました(2022年9月時点)。
宏基氏の息子で3代目の徳隆氏は、日清食品ホールディングスの代表取締役副社長に就任しています(2022年9月時点)。
役員一覧 | 日清食品ホールディングス | 日清食品グループ (nissin.com)
イオン
イオングループの取締役兼代表執行役会長の岡田元也氏は創業者「岡田卓也氏」の長男に当たります。
岡田家は初代の惣左衛門による和服の織物屋から始まり、呉服屋そして卓也氏によるジャスコの創業を経て、現在のイオンへと変革を遂げました。
イオンはグローバルなメンバーも社外取締役に入れるなど、
閉鎖的なイメージのあるオーナー企業とは少し違う一面を持っています。
他にも「ブリヂストン」や「大塚製薬」なども創業以来一族で会社を継続してきたオーナー企業です。
オーナー企業のメリット
意思決定が早い
オーナー企業の大きなメリットのひとつに意思決定の早さが挙げられます。
オーナー企業の場合は意思決定を持つ人物が現場で経営に携わっていることが大半です。
そのためプロジェクトの開始や変更などの際に判断をすぐに仰ぐことができ、
スムーズな事業運営に繋げられます。
経営の意識が高い
オーナー企業の場合、経営状況がオーナーファミリーの生活に直接関わってきます。
そのため、経営に対する意識を高く持っている場合が多いです。
後継者は、創業者や先代の経営に対する考え方を身近で勉強するため、
経営に関する知識や意識が継承することも理由として考えられます。
H3 経営が安定している
2代目3代目と代々続いているオーナー企業の場合、経営状況が比較的安定しています。
理由として、
- 先代からの顧客がいること
- ファミリーを守っていくために危険な賭けビジネスをしない
以上、2点のことが大きく関係していると考えられます。
もちろん一概には言えませんし、社長の代替わりで攻めの経営に舵が切られる場合もあるでしょう。
しかし特に中小企業の場合は、企業を大きくするよりファミリービジネスで安定的に生きていくための「ビジネス」の場合が多いです。
反面、大きく成長する可能性が低いため、安定志向のオーナー企業へ入社すると昇進や給与アップを見込める可能性は低くなるかもしれません。
外部株主からの影響を受けずに経営できる
中小企業庁がまとめた資料によると、
外部株主のいる約4割の企業が外部株主の存在や導入に関するデメリットとして、「経営に対する圧力の増加」を感じています。
会社は株主によって成り立っているため、外部に株主がいることは会社のトップや経営陣、社員の思うように事業を進められない状況もあり得ます。
外部の圧力を受けずに経営を進めたい企業にとって、外部株主を設けない選択肢を取っているようです。
ここでは外部株主がいないことをメリットとしてあげましたが、
外部に株主がいないということは、外部からの圧力がないために偏った経営判断をしてしまうデメリットな一面もあります。
実際、オーナー企業に取ったアンケート(第1-4-6図)でも外部株主の有無に関してはメリット面とデメリット面が半々の結果になっています。
引用元:中小企業庁
跡取り候補がいなければ、後継者になれる可能性もある
全国オーナー企業分析では約7割が後継者問題に頭を悩ませています。
後継者への引継ぎを誤り、お家騒動へ発展したりするなど、
後継者を決めることはオーナー企業にとってもっとも頭を悩ませる問題と言っても過言ではないでしょう。
一方で、「パナソニック」のように代々続いたオーナー企業から、
非オーナー企業へシフトチェンジするオーナー企業も増えてきています。
特にトップが65歳を超える企業や、年商1~10億円規模の企業では後継者不在問題は顕著になっているため、オーナー企業に入社した非同族社員がトップを狙える可能性があります。
引用元:帝国データバンク
オーナー企業のデメリット
ワンマン経営になる可能性がある
オーナー企業に対するイメージはまさにこのワンマン経営ではないでしょうか?
実際、私自身も初めて就職した会社はまさにこの「ワンマン経営」になっていました。
トップの意見は絶対的なもので、現場から意見ができる環境ではありませんでした。
「意見をしやすい会社である」ことは、オーナー企業のイメージ払しょくのためにも解決すべき大きな問題のひとつと言えます。
事業継承が課題
多くのオーナー企業で後継者の問題を抱えています。
人生100年時代と言われ、オーナーである以上65歳になったから引退とはならないにしても後継者候補がいないのは大きな不安要因ではないでしょうか?
とくに創業者が今もトップでいる企業の半数は後継者が不在だと答えています。
私の知る年商10億を超える建設業のオーナー社長の場合、
息子はいるけれどトップの器ではないという理由から、自分の代で事業を終わらせるつもりでいるようです。
オーナー企業の場合、その器に適した後継者を同族の中から見つけることや育てることには限界があるのかもしれません。
イチ社員がトップになれる可能性が低い
一般的にオーナー企業の場合、自分の家族に事業を譲りたいと考えるのが当然です。
譲れる子供や身内がいて、本人が望むならば、事業はファミリー内で継承されます。
非同族の社員でも能力があり、トップや経営陣が客観的な判断をしてくれる社風であれば、
ある程度の役職につける可能性はあります。
しかし非同族の社員がトップまで昇進できる可能性は残念ながら高くはないでしょう。
就活や転職で就職先に選ばれる企業になるためにオーナー企業がすべきこととは?
ワンマン経営になりがちで、昇進できる可能性が低いオーナー企業は就活や転職で嫌煙されがちです。良い人材を獲得するためにも負のイメージを払拭し、風通しの良い企業をアピールすることをお勧めします。
社員が発言しやすい風土を作る
非同族社員でも事業や社内のことに関して発言しやすい雰囲気を作っておきましょう。
会社のトップやその同族が社員として現場にいる場合、どうしても発言しにくい雰囲気が流れています。
経営に関することだけでなく、事業の詳細まで細かく同族のみで決めてしまう社風では、
社員は働き甲斐を感じることなく、士気も落ちていきます。
ファミリー以外も取締役にいれておく
オーナー企業だとしてもファミリー以外の人材を取締役に入れておくべきです。
ファミリービジネスの場合、経営陣は同族のファミリーのみになりがちです。
その場合、社員が発言しにくいだけでなく、偏った経営になりかねません。
また、非同族の取締役がいることで非同族社員との橋渡しになってくれるので、
現場の問題を早期に解決できます。
企業を安定して経営するためは、ファミリー以外の取締役席は設けておきましょう。
まとめ
オーナー企業といっても紹介したイオンや日清のような大企業もあれば、中小企業も多くあります。
メリットもデメリットも一概には言えませんが、世間がオーナー企業に抱く印象は近しいように感じます。
特に後継者問題に悩むのは大企業も中小企業も同じではないでしょうか?
せっかく成長させた企業を存続にむけて、早めに優秀な人材の確保へと動くべきだといえます。
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