映画『老後の資金がありません!』は、垣谷美雨(かきや みう)の同名小説を原作としたコメディタッチの映画です。ごく平凡な一家が「老後資金」という切実な問題に直面し、思わぬ出費やトラブルの連続で貯金がどんどん減っていく様子をコミカルかつリアルに描いています。この記事ではストーリーや結末をまとめながら、作品内で問題提起されている老後2000万円問題、現役世代の資産づくり、中高年の資産管理について現役証券マンである筆者がプロの目線で解説します。
目次
執筆者プロフィール
杉山 広(すぎやま ひろし)
杉山綜合財務管理株式会社 代表取締役。
1985年生まれの男、妻と3人の息子を持つ父、大阪出身、横浜在住。
大卒後、証券会社へ入社。証券会社時代の6年半で1000名超の個人・法人のお客様を担当し、60億円を超える資産運用のサポートを行う。2015年にウェルスマネジメント専門の金融アドバイザーとして独立、2019年に法人を設立。個人顧客を中心に証券投資と不動産投資を組み合わせたウェルス・マネジメントを提供。
老後の資金がありません 登場人物 あらすじ(ネタバレあり)
おもな登場人物
- 後藤篤子(ごとう あつこ)53才、役・天海祐希:主人公。専業主婦として長年家計を切り盛りしてきた。老後のためにコツコツと貯金をしているしっかり者。
- 後藤章(ごとう あきら)56才、役・松重豊:篤子の夫。安定した会社勤めで、篤子とともに老後の生活を漠然と考えていた。
- 後藤芳乃(ごとう よしの)80才、役・草笛光子:章の母。吟と一緒に老舗の和菓子店を切り盛りしていた。浪費癖がある。
- 後藤吟(ごとう ぎん):章の父。昔気質の頑固な部分があり、見栄っ張りで出費がかさむタイプ。
あらすじ ※結末・オチまで ネタバレ注意
天海祐希演じる篤子は主婦として長年家計を切り盛りし、老後のためにコツコツと貯金をしているしっかり者。あるとき、マスコミや政府が「老後の資金は2000万円~4000万円必要だ」と発表したことで、驚く。
そんな矢先、篤子の夫である章(役・松重豊)の父・吟が亡くなり、葬儀費用を長男である章と篤子夫婦で負担することになった。葬儀費用が高額にならないか心配になった篤子は家計について章に相談することに。
すると、章は「仕方ないじゃないか、葬儀代ぐらい出さなきゃなぁ」とどこか他人事の様子。また章は「そういえばうちの貯金はいくらあるんだ?」と篤子に訪ねたところ、篤子は700万円ぐらいと答える。
少し驚きながら、2000万円ぐらいあるのかと思ったと、章。まぁ、いざとなったら持ち家を売ればいいかと楽観的な章の様子に篤子は少し不満げ。
あまりお金をかけずに葬儀をやろうと考えていた篤子だが、芸人・友近演じる葬儀屋の本間にうまくのせられて、葬儀費用として400万円(戒名代80万円含む)の見積もりを提示される。本間からは香典が入るから手出しはそんなに多くないだろうと言われ篤子は、それならいいかと、葬儀代を支払うことに。ところが、箱を開ければ葬儀は参列者少なく、ガラ空き状態。400万円のほとんどが章・篤子夫妻の持ち出しとなる。
そんな中、章が勤める会社が突然倒産してしまうことに。倒産だから退職金も一切無し。56才で章は無職となってしまう。ほぼ同時期に篤子もパート勤務をしていた家電量販店をクビに。夫婦揃って無収入となってしまうのでした。
場面は変わって、章・篤子夫妻の娘でフリーターのまゆみ(役・新川優愛)が突然、結婚相手(役・加藤諒)を連れてきて、できちゃった婚宣言。まゆみの婚約者は売れないバンドマンだが実家は金持ちのため、披露宴と式は盛大に開催したい模様・・。まゆみ達はお金がないので、資金は両家の親頼り。さらには、生活力がないまゆみは結婚後も実家に度々帰ってきては物資(食料など)をごっそり持って帰る始末。
仕事もなく、支出も多く、お金に困った夫妻は連日もやし豚鍋で倹約の日々。
章・篤子夫妻は何とか支出を減らすため、清掃道具の定期契約などのいわゆる「サブスク」サービスを解約し、生活費の足しになるだろうとマイカーも売却。
ついには、章の母親である芳乃(役・草笛光子)への仕送り(毎月9万円)も見直しの対象となることに。
章の両親(吟&芳乃)は浪費グセが激しく、二人揃って介護や医療サービス付きの高級ケアマンションに住んでいたため、貯蓄は皆無。ケアマンションの維持費を捻出できないため、芳乃は章夫妻の家で同居することに。
章には妹の桜井志津子(役・若村麻由美)がいるが、すでに亡くなった吟の介護や医療費をずっと負担していたことから、芳乃の生活の面倒を見ることには非協力的。これは志津子が幼少の頃から兄・章が長男であることを理由に両親からえこひいきされていたことを苦々しく思っており、そのことも志津子が芳乃を拒否する理由の1つである。志津子の夫である桜井秀典(役・石井正則)は研究職の高給取りだが志津子と同じく芳乃の面倒を見ることは出来ないと明確に意思表示する。
そんなこんなで章・篤子夫妻と浪費癖のある芳乃との同居が始まるが、、、。
芳乃は気前よく友人や知人に食事をご馳走したりするものの、実は金銭管理がずさんでカード破産一歩手前。カードの支払が間に合わなくて息子の章に支払いを頼む始末。さらに芳乃はオレオレ詐欺に引っかかり、吟の葬儀の香典である現金を詐欺師にだまし取られることに。
場面は変わって、章は新たに建設現場のトラック誘導の仕事を始めることに。そこで知り合った山崎と意気投合し飲みにいく。章は飲みすぎた山崎を彼の家まで送り届けると、なんと山崎は大豪邸に住んでいた。
なんでこんな良い暮らしをしているのに交通整理のアルバイトをやっているのかと、山崎に問う章。
豪邸はシェアハウスとして借りているだけで、複数人で同居していると答える山崎。
章は山崎のシェアハウスの同居人であるシングルマザーでキャバ嬢のレイナ(役・高橋メアリージュン)からお酌をされ朝帰り。章はレイナとの浮気を篤子に疑われ一悶着あったものの誤解は溶け一段落。
そんな中、篤子は友人であるサツキ(役・柴田理恵)に芳乃との同居などについて相談するが、根本的な解決には至らず。
あるとき、芳乃は思い立って生前葬を開くことに。生前葬では芳乃は来賓たちと歌って踊っての大騒ぎ。
そんな光景を見た章の妹の志津子はあれほど嫌がっていた芳乃との同居をなぜか受け入れ、芳乃は志津子夫妻と同居することに。志津子は、芳乃と章夫妻が大変ながらも楽しそうに同居していることが羨ましくなったのである。
芳乃は章夫妻の家を出て志津子夫妻の家へ向かうときに「人間わがままに生きたほうが勝ちよ」と篤子に助言を残す。
哀川翔扮する天馬(てんま)は章と同じ大学出身で倒産した会社の同期であった。いまや独立起業し、成功した実業家であった。篤子は章が失職した当初から天馬へ仕事について相談したらどうかと章へ伝えていたが、章はプライドが許さず、篤子の提案を突っぱねていた。しかし、章は自分のわがままなプライドを優先させていたことに反省し、天馬と会うことに。
天馬はワンマン企業になっている自分に率直な意見を言ってくれる人を欲しており、大学の同輩であり元同期であり友人である章を会社に来てほしいと提案。章はついに仕事が決まる。
篤子、章、息子の勇人の家族3人で祝杯をあげる。息子で学生である勇人(役・瀬戸利樹)は就職で会社の寮に住むことを決め、実家から巣立っていく。
場面は代わり和菓子を作る章と篤子。作った和菓子を同じ屋根の下に住む友人たちに振る舞っている。
なんと、二人はかつての家を売却し、シェアハウスに移り住んだのだ。家を売却し、ローンの残りを返済し手元には1400万円のお金がある。
最後に、篤子のナレーション。「国やマスコミが老後2000万円や4000万といって不安を煽るが、本当だろうか?
私達は考えかたを変えて生きることにした。ここには(シェアハウス)、経済的なことだけでなく、プライバシーが守られながら人とのつながりを感じられる生活がある。先のことは分からないが、人生をたのしんで生きている。」
完。
感想
もう、ムチャクチャである。
天海祐希と松重豊を中心としたコメディタッチな展開で笑わせてくれるシーンが随所にあり、面白かったのは間違いないです。
しかし、オチに度肝を抜かれました。中年夫婦が家を売っぱらってシェアハウスに夫婦で住み始めるって、、、
「んんん??自分今うたた寝して大事なシーン見落とした?」と頬をつねりました。
何というか、連載マンガの打ち切りが突然決まって、これまでのストーリ展開ぶった切っていきなり最終回を見ているような感覚とでも言いましょうか。
中年夫婦が「先のことは分からないが、人生を楽しんで生きている」のは結構なことだが、ちょっとそれは取り返しがつかないんじゃないかと思うことが散見されます。
プロが解説 中高年がやっちゃいけないお金のこと
ここでは映画『老後の資金がありません!』の中で、「そ、それは中年がやっちゃ駄目だぁああ!」という行為を杉山の目線で紹介します。
終の棲家は 賃貸?それとも持ち家?
映画の終盤で章&篤子夫妻は持ち家を売却します。
終の棲家は、高齢になれば賃貸ではなく持ち家のほうが良いと断言します。
高齢になると高齢であることを理由に賃貸住宅の契約を断られることが増えるからです。またすでに賃貸住宅に住んでいたとしても、更新のタイミングで何らかの理由を付されて契約更新を拒否されることがあります。年齢を理由に契約出来ないなんて差別じゃないか!と思うかもしれませんが、悲しいことにそういった事例は山ほどあります。年齢だけではありません。国籍や、生活保護受給者、持病などを理由に賃貸契約を断られるケースも沢山あります。「終の棲家は持ち家」ということはぜひ覚えておいてください。
じっさいのところ、、、私自身、不動産業を営んでいますが、高齢者や一部の外国籍、特定の病気を持つ人を避ける大家さんは本当に多いのです。行政が「そういう(顧客の選別)のは止めてね・・」という通達を出しているのですが、実務的には行政の通達はほとんど無視されているのが現状です。
シェアハウスはリスクが勝る
シェアハウスは、プライバシーがどこまで確保されるのかという問題もあります。また、年齢を重ねたときに病気や介護の問題が出てきたときもどうしたらいいのか・・。
若者が利用するのはいいのですが・・・。まぁここはフィクションとして割り切って楽しむのが良さそうです。
葬儀費用や葬儀の方針について
葬儀費用で400万円は贅沢の部類に入ると私は感じます。市営の斎場であれば30万円~50万円程度で葬儀を出来ます。親が存命のうちに葬儀をどうするか(宗派)、どれぐらいの規模でしたいのか(予算)、ぐらいは最低限、話し合っておいても良いと思います。
家計に無頓着な稼ぎ頭・大黒柱
お金の管理を妻の篤子に任せっきりの章、50代半ばになるのに貯蓄額を把握していないのは良くないですね。家計は妻にまかせっきり、あるいは妻は生活費だけもらってその範囲内で家計をやりくり、なんて家庭は多い。
しかし、貯金額や支出、退職金見込額などお金のことについて夫婦間で話し合って共有することをおすすめします。なぜなら、予期せぬ多額の支出や借金など、お金のトラブルが発生しても対処しやすくなるからです。
ちなみに筆者ファミリーは、投資や現預金の管理は私がやっています。ただ、預金額、住宅ローン残債、投資額(含み益も)、保険(生命保険金額)などすべて夫婦間で情報共有しています。
あるとき、「万が一私が事故や病気で突然死んだら、、、家を売って子どもたちを連れて(妻方の)実家に帰ったほうがいいんじゃないか」という話を我々夫婦はしたことがあります。
妻は当初「まぁ、そうする(実家に戻る)のが一番良さそうね」と言っていました。
その後、さらに夫婦間で話し合ったら、「実家は田舎だから子どもの進学や就職を考えたら今住んでいる場所に留まったほうがいい。病気や事故で急死したら住宅ローンも無くなるし*1」という結論に達しました。
*1 団体信用生命保険(団信)に加入している住宅ローンの主債務者が死亡した場合、保険金によって残りの住宅ローンが全額完済されます。
人生は波があります。出世街道を突っ走ることもあれば、突然の左遷もあったりします。
普段からお金のことについて夫婦間で話し合っていると、本当にお金に困ったときに、言いにくいことでも、包み隠さず腹を割って話し合うことができます。そういう関係を夫婦間で築いておくと良いと思います。
老後2000万円問題 その発端は?
金融庁のレポートが炎上
映画の冒頭、篤子が屋外テレビでみかけた「老後2,000万円問題」とは何でしょうか?
「老後2000万円問題」は、2019年に金融庁が公表した報告書をきっかけに広く知られるようになりました。
簡単に説明すると、定年退職時点で少なくとも2,000万円ほどの貯金がないと老後の生活に困ることになる、という話です。
金融庁の報告書では、夫婦の平均的な生活費を毎月約26万円、年金などの収入を毎月約21万円と見積もりました。その差額である5万円が不足分となり、仮に30年間(65歳~95歳)生活すると1,800万円ほど足りなくなる、という試算から「2000万円」という数字が取り上げられました。
また、近年では「老後には実は4,000万円が必要では?」という声も強まっています。平均寿命の伸びや医療・介護費用の負担増、さらにはインフレによる物価上昇などを考慮すると、2000万円では心許ないのではないかという懸念があり、「最低でも4000万円くらいは用意しておくべき」という考え方が広がっています。
現役世代が定年退職までに2,000万円貯める方法
ここからは具体的に老後資金の作り方について解説していきます。
家賃、通信費、民間の保険、サブスクなどを見直して支出削減
大きい固定費を見直して毎月3万円の投資軍資金をなんとか捻出してください。持ち家の人は通信費と保険を優先的に見直しましょう。
毎月3万円を積立投資(積立NISA)に回す。なんとか3万円を捻り出す
2000万円以上の金融資産を定年退職まで作るには、毎月3万円をなんとか捻り出して、積立投資をしてください。老後2,000万円問題の発端となった金融庁レポートの22ページに次のような記載があります。
(概略)20年ぐらい積立投資をすると投資収益率2~8%(年率)に収斂し、投資元本が1.8倍~3.2倍ほどに増える可能性がある。
毎月3万円を捻り出して積立投資をすれば20年間で投資元本は7,200,000円になります。
7,200,000万円が1.8倍~3.2倍になると考えれば、老後2,000万円は射程圏内に入ってきます。
副業(兼業)について
副業は本業に関連するものが一番いいですね。
趣味を副業に活かすならばセミプロ並の知識と経験がある趣味を活かすと良いと思います。
なぜならば、本業や熱心な趣味とは全く畑違いの副業で収入UPを果たすのは大変です。新しいスキルや知識を習得するには時間もお金もかかります。自分が経験豊富で他人に教えられる先生的立場になれる分野での副業がおすすめです。
大都市にアクセス良好な郊外エリアに土地を持つ
住まいについては、賃貸派vs持ち家派という議論が長らく続けられており、コストパフォーマンス重視の若者からは賃貸一択という風潮でしたが、完全に潮目が変わったと私は考えています。
というのも、日本は長らく超低金利(ときにはマイナス金利)が続いていましたが、2024年7月に日銀が0.25%へ利上げをし、翌2025年1月には0.5%へ追加利上げを実施しました。政策金利が0.5%の水準になるのは、2008年10月以来約17年ぶりです。
これらは日本がバブル経済以来の物価上昇トレンドに入ったことを意味します。バブル崩壊以降、土地は「負」動産と揶揄され「土地はもう値上がりなんてしない」とさえ言われることもありましたが、それはもう昔の話です。資産は現預金だけでなく、土地(土地付き戸建て)や株式などで分散して保有しなければインフレに太刀打ちできない時代が訪れました。
リタイア世代のやるべき「老後2000万円」対策
現役世代同様、リタイア世代でも最初に着手すべきは固定費の見直しです。民間保険、通信費、サブスクサービスなどは必要かどうか吟味してください。
定年後の再就職 年金の繰り下げ受給
最も効果的で即効性のある老後資産対策は「働いて」、貯蓄の取り崩しを極力無くすことです。
私の知り合いのAさんの話をします。Aさんは55才で早期退職後、仕事を一切せず、退職の開放感から遊びや趣味を楽しんでいたら・・・・5年間であっというまに退職金(1600万円)を使い切ってしまうことに。Aさんは慌てて60才からパートタイムの仕事を始めていました。それぐらい無収入だとお金は凄まじい速さで減っていきます。
現在は65歳定年が増えており、70歳まで働く人も珍しくありません。体に無理のない範囲で、パートタイムの仕事をすることで、資金の取り崩しを減らせます。年金を受給するまでの無収入となる期間をできるだけ減らすことが大切です
次に、年金受給を繰り下げることで年金額を増やすことができます。65歳以降に受給開始を1年遅らせるごとに、年金額は約8.4%増となります。70歳受給にすると、65歳受給に比べて最大42%増額となりますが、、、65才になったら年金もらっちゃう人がほとんどですから、参考程度に。
投資で増やすのも手 しかし・・・
近年の物価上昇によって実質的に預貯金は目減りしています。株式や投資信託での運用で対策をする必要があります。証券投資以外にも不動産投資もありますが、どちらも知識と経験がなければ上手くいきません。自分で投資の勉強をするか、信頼できる投資アドバイザーを探して相談するといいでしょう。また、投資アドバイザーは1人ではなく、複数人・複数社と相談することをオススメします。
潤沢な資産があるなら
定年退職時に十分な金融資産を持っているならば、あえて「投資をしない」という選択肢もあります。
昨今の物価上昇を考えると、少なくともインフレ率ぐらいの運用益を狙ったほうがいいのですが、情報収集せずに投資をすれば「ほぼカモにされます」ので注意してください。
持ち家はあったほうがいい
前述の通り、高齢になれば賃貸ではなく持ち家があったほうがいいです。
老後資金は実際いくら必要か?ぶっちゃける
映画の最後で篤子&章夫妻の貯金額は1,400万円ほどになりました。貯金額が2,000万円を下回ってしまって大丈夫か?と思うかもしれません。
老後の生活に2000万円必要という金額は、もちろん「目安」です。住むエリア、生活スタイル、寿命、病気の有無などで老後に必要な金額は変わります。
単身世帯なら毎月の支出が15万~20万円程度、夫婦なら20万~30万円程度が一つの目安です。
とはいえ、人それぞれ老後に必要なお金は異なります。詳細にライフプランを考えると、沼にハマりますのでここでは簡単に自分の生活コストのシュミレーションをしましょう。
シュミレーションしよう 必要な老後資金
無慈悲な現実を言ってしまう
わりと倹約したとしても毎月3~5万円は貯蓄を取り崩すことになる可能性が高く、冠婚葬祭や交際費などイレギュラーな出費もあることを考慮すると、老後生活資金として2,000万円必要という試算はかなり現実的な金額だと思います。
現役世代が定年退職を迎える未来は、健康保険料や介護保険料が増えて、今より年金の手取り額が少なくなる可能性があります。また、年金受給開始年齢は今のところ65才となっているが、これは70才に引き上げられることは既定路線です。
そうなると、やっぱり、老後生活資金として2000万円は確保すべきだと私は考えます。
個人的に面白い!と思ったシーン紹介
映画全編を見きれない人のために、「ここは笑った!」、「なるほど勉強になった!」と杉山が思ったシーンを紹介します。
クスっとした後、感心したシーン 篤子のフォロー
章の勤める会社が突然倒産してしまい、章はそのことを篤子に電話で伝えます。
章が失業したことに篤子は驚きつつ、電話からカンカンと踏切の音が聞こえてきて、篤子は最悪のケースを想像します。篤子は慌てて「とりあえず今日は早く帰ってきなさい!晩ごはんはあなたの大好物のおでんにするから!」と章へ帰宅を強く促すシーン。
篤子の行動、これって本当に正解だなと思いました。会社の倒産、クビ、左遷など、突然自分の身に降りかかれば誰でも目の前が真っ暗になったり、不安になってしまいます。特に一家の大黒柱であれば尚の事。家族に失職したことを言えなくて苦しむ人もいるでしょう。ショッキングな出来事で思考停止すると、人間は考えられないような行動をしてしまうことがあります。
落ち込んだ人に対して、食べ物でも遊びでも何でもいいから大好物をぶら下げて、「とにかく帰ってこい!」と伝えることは最悪の事態を防ぐために私自身覚えておこうと勉強になりました。
笑ったシーン 中年の求職活動
ハローワークで求職相談をする章。仕事を選り好みしてハローワーク職員に呆れられるシーンの松重豊の表情や演技がとってもコミカルで面白いです。
50代で突然会社が潰れて求職活動をすることは本当に大変なことなので、笑っていられないのですが、松重豊の演技を見ていると笑いを堪えられませんでした。ぜひ見てほしいシーンです。
篤子と章は将来どうなるか?
50代半ばで、持ち家を売却し、シェアハウスに移り住んだ篤子&章の二人は今後どうなるのでしょうか。
せっかくなのでシュミレーションしてみましょう。
章の再就職先が決まったことは良いことですが、56才からの再就職だと退職金はほぼ無いと考えられます。そうなると二人にとって虎の子の1,400万円の貯金をいかに守っていくか、ということが至上命題になります。
正直に言うと、、、貯蓄が1,400万円だと、浪費が多かったり病気や介護などイレギュラーな出費が出てくると心許ない面はあります。持ち家ではなく住まいが賃貸なのも気になる点ではあります。
しかし、幸いなことに長年会社勤めをやってきた章は65歳から毎月16万円~20万円程度の年金を受け取れることが予想でき、また章の扶養(第三号被保険者)に入っている篤子も毎月54,000円ほどの年金額が見込めます。体が健康であれば70才までは働ける時代です。夫婦二人とも少なくとも65才まで働けば、老後の生活を送るのに困らないと思います。
仲の良い夫婦が題材となる映画やドラマは見ていて心が暖かくなります
この記事がきっかけで、あなたも映画「老後の資金がありません!」を見てもらえると嬉しく思います。
執筆者
杉山綜合財務管理株式会社
代表 杉山広
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証券一筋16年。証券会社、銀行系証券、IFA(金融商品仲介業)といった各業界の裏側を知る杉山がざっくばらんに世の中を賑わす政治・経済ニュースを独自の視点で解説するメルマガです。
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