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民泊・不動産コラム

長男が親の介護・実家・相続で準備すべきこと

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親の介護、治療方針、実家の管理、相続。こうした問題は、なんだかんだ長男に集まりがちです。しかし、長男がすべてを背負う必要はありません。

親が元気なうちに情報を整理し、家族で役割を決めておく。それだけで、いざというときの負担はかなり変わります。

長男の役割は「全部やること」ではない

長男は、なんだかんだしっかりしていて、頼りがいがあります。

最初の子として親から期待され、弟や妹の面倒を見ながら育つ。その積み重ねで、自然と責任感が身についた人も多いでしょう。

実家が地方にあれば、「大学を出たら戻ってきてほしい」「いずれ実家を継いでほしい」という親からの静かな期待もあります。

そして親が高齢になると、次のような連絡が長男に集まります。

  • 親が病気になった
  • 介護や施設入居が必要になった
  • 治療方針について判断してほしい
  • 葬儀や法事を取り仕切ってほしい
  • 実家を整理してほしい
  • 相続手続きを進めてほしい

家族も、最終的には「長男はどう思う?」と聞きたくなります。

ちなみに私は長男ではなく、超お気楽な末っ子次男です。それでも、父のことで判断が必要になったときには、やはり兄に「どうする?」と聞いていました。

長男は頼られる存在です。
ただし、頼られることと、すべての作業を一人で引き受けることは別です。

動画では、父を見送った経験や、在宅で看取ることについて医師から言われたことも含めてお話ししています。

[父を見送った経験から考えた、長男が介護・実家・相続で準備すべきこと(YouTube)]

最初に親の情報を整理する

親が倒れてから、預金や保険、重要書類を探すのは想像以上に大変です。

最低限、次の情報は親が元気なうちに整理しておいた方がよいでしょう。

財産と負債を一覧にする

確認するのは財産だけではありません。

  • 銀行口座と証券口座
  • 生命保険
  • 土地、建物などの不動産
  • 借金
  • 連帯保証
  • 貸付金や未回収金

相続には預金や不動産だけでなく、借金などの負債も含まれます。

財産額を正確に聞き出すことより、まず「何が、どこにあるか」を把握する方が現実的です。

重要書類の保管場所を確認する

次に、書類の場所です。

  • 通帳
  • 印鑑
  • 不動産の登記関係書類
  • 保険証券
  • 年金関係書類
  • 遺言書

重要書類を一か所に集める必要はありません。ただし、家族の誰かが保管場所を知っている状態にはしておくべきです。

デジタル情報も忘れない

今は、紙の通帳がない銀行口座や、郵送物が届かないウェブサービスも増えています。

  • スマートフォンのロック解除方法
  • Apple Account
  • Googleアカウント
  • 主に使っているメールアドレス
  • ネット銀行、ネット証券
  • 有料サービスや定期購入サービスの種類とアカウント
  • 写真などのデータ保存先

パスワードそのものを家族全員へ渡す必要はありません。パスワードを記録したノートや管理方法、その保管場所だけでも伝えておくと違います。

また、AppleとGoogleには、本人が亡くなった場合などに備える公式機能があります。パスワードを書き残すだけでなく、親が元気なうちに設定しておく方法もあります。

親への切り出し方は「財産」より「万が一」

親にいきなり「財産はいくらあるの」と聞けば、金目当てと思われても仕方ありません。

私なら、次のように伝えます。

万が一のときに家族が困るから、必要な情報と書類の場所だけ整理しておいてね。

病気や入院の後に切り出すと、「まだ生きているのに、もう死んだ後のことを考えているのか」と受け取られる可能性があります。

元気なうちなら、半分まじめ、半分笑い話として話せます。このタイミングの差は大きいと思います。

兄弟は平等ではなく、できることで分担する

私が父を見送ったときは、兄弟で役割を分担できたため、亡くなる前後の手続きを比較的スムーズに進められました。

ただし、作業量を平等に分けたわけではありません。

家族には、それぞれ事情があります。

  • 実家の近くに住んでいる
  • 遠方に住んでいる
  • 平日に休みを取りやすい

実家に近い人は、病院への付き添いや家の確認をする。遠方にいる人は、施設探し、書類の整理、親族への連絡などを担当する。

全員が同じ時間を使う必要はありません。それぞれが、できることを担当すればよいのです。

長男が家族の窓口になったとしても、実務まで全部抱える必要はありません。

一人っ子は早めに外部へ頼ることも1つの手

一人っ子の場合、相談相手や交代要員となる兄弟がいません。これはかなり大変です。

介護ならケアマネジャー、相続登記なら司法書士、相続税なら税理士、遺産分割でもめそうなら弁護士というように、早めに外部の専門家を使う前提で考えた方がよいでしょう。

介護の相談先が分からない場合は、親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターが最初の窓口になります。

地域包括支援センターなど介護の相談先を調べる

専門家へ頼ることは、家族としての責任を放棄することではありません。自分にしかできない判断へ集中するための役割分担です。

親の治療方針は元気なうちに聞く

親の介護で最も重いのは、お金や手続きではなく、治療方針を決めることかもしれません。

  • 治療をどこまで続けるのか
  • 延命治療を希望するのか
  • 緩和ケアを中心にするのか
  • 自宅で過ごしたいのか
  • 病院や施設で過ごしたいのか

本人の意思を確認できない状態で、家族が決めなければならないことがあります。そのとき、最終判断を長男へ委ねる家族も少なくないでしょう。

厚生労働省では、もしものときに望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと話し合うことを「人生会議(ACP)」としています。

これは一度決めて終わりではありません。本人の気持ちや健康状態の変化に合わせて、繰り返し話すものです。

厚生労働省「人生会議」で医療・ケアの話し合い方を確認する

在宅での看取りが常に正解とは限らない

自宅で最期を迎えることには、住み慣れた場所で家族と過ごせるという良さがあります。

一方で、本人にとっても家族にとっても大きな負担があります。本人が苦しんでいても、家族はそばで見守ることしかできない場面があります。

私も医師から、在宅で看取るには本人にも家族にも覚悟が必要だと言われました。

実際に父の死を経験してからは、安易に「最期は自宅が一番」とは言えなくなりました。

在宅と病院のどちらが正しいという話ではありません。

親が何を望んでいるのか。家族はどこまで対応できるのか。医療的にどのような選択肢があるのか。この三つを、医師や介護関係者も交えて考える必要があります。

誰も住まない実家は出口を決める

親が施設へ入った後や亡くなった後、実家をどうするのか。

選択肢は主に三つです。

  1. 残す
  2. 貸す
  3. 売る

誰も住まなくても、固定資産税、火災保険、修繕、庭木の手入れ、マンションなら管理費や修繕積立金などがかかります。

国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」でも、空き家管理の課題として「管理の作業が大変」を挙げた世帯が約32%ありました。

維持管理費は物件による差が大きいため、「全国平均はいくらか」より、自分の実家に毎年いくらかかるかを計算すべきです。

国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」の結果

残すなら、誰が管理し、費用を誰が負担するのか。

貸すなら、修繕費をかけても採算が合うのか。

売るなら、親が元気なうちに売るのか、相続後に売るのか。

「とりあえず残す」は決定の先送りです。実家は思い出の場所ですが、不動産でもあります。

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遺言を検討した方がよい家庭

家族関係が良好で、預金など分けやすい財産が中心なら、遺産分割協議でまとまることもあります。

ただし、次のような家庭は遺言を検討した方がよいでしょう。

  • 相続人同士の仲が悪い
  • 親が再婚していて、前の配偶者との子がいる
  • 一人の子だけが長期間、親の介護している
  • 一部の子だけが多額の生前援助を受けている
  • 疎遠または連絡の取れない相続人がいる
  • 主な財産が実家などの分けにくい不動産である
  • 家業があり、自社株を後継者へ集める必要がある
  • 本家の不動産や家名を特定の子(長男)に引き継いでほしい

相続は、財産が多い家庭だけの問題ではありません。

私が仕事で見てきた中には、数百万円の財産をめぐって話がまとまらなくなった事例もあります。

親が亡くなった時点での各相続人の経済状況は違います。「もらえるものはもらいたい。できれば少しでも多く」と考える人が出てくる可能性はあります。

実際に当社でも、将来の相続トラブルを防ぐため、家族関係や財産の状況を整理したうえで遺言を作成したお客様がいます。次の事例で紹介しています。

政府広報によると、一般的に使われる遺言には、自分で作成する自筆証書遺言と、公証人が作成する公正証書遺言があります。

遺言には法律で決められた方式があり、相続人の遺留分など別の論点もあります。内容に不安がある場合は、司法書士や弁護士へ確認した方がよいでしょう。

政府広報オンラインで遺言の種類と相続の基本を確認する

よくある質問

Q.親に財産の話をどう切り出せばよいですか?

金額から聞かず、「万が一のときに困るから、口座や重要書類の場所だけ整理しておいて」と伝える方法があります。親が元気なうちに話すのがポイントです。

Q.パスワードは家族で共有した方がよいですか?

無条件に共有する必要はありません。管理方法と保管場所を決め、誰がどのような場合に確認するのかまで整理しておきます。

Q.在宅での看取りと病院はどちらがよいですか?

一律の正解はありません。本人の希望、病状、家族の介護力、利用できる医療・介護サービスを確認し、医療関係者と話し合って決めます。

Q.兄弟の作業量に差があっても問題ありませんか?

同じ作業量にそろえる必要はありません。ただし、誰が何を担当したか、立て替えた費用はいくらかを記録しておくと、後の不満を減らせます。

Q.兄弟仲が良ければ遺言は不要ですか?

分けにくい不動産や自社株、再婚関係、介護や生前援助の差がある場合は、家族仲が良くても話が複雑になります。遺言の必要性を一度検討する価値があります。

長男は全部やらなくていい

親の老後問題で差が出るのは、問題が起きてからの頑張りより、親が元気なうちの準備です。

情報を整理する。兄弟で役割を決める。親が望む医療や最期を聞く。実家の出口を考える。必要なら遺言を準備する。

長男の役割は、すべての作業を引き受けることではありません。家族や専門家をつなぎ、必要な判断が抜けないように交通整理をすることです。

世の中の長男は偉大です。末っ子次男の私が言うのですから、間違いありません。

ただ、頼りになる人ほど、一人で抱え込んでしまいます。親が元気な今のうちに、まず家族で一度話してみてください。

著者:杉山 広
杉山綜合財務管理株式会社 代表取締役/宅地建物取引士

杉山広の経歴と資産管理に対する考え方
杉山綜合財務管理株式会社の会社概要